Keiの自然探索日記

主に湿地帯を中心に昆虫や植物を見つけに野山を駆け巡る日記

晩秋の奇跡

11月16日。この日は前回の北関東キトンボ探索で密かに狙いをつけていたヒメアカネを完全敗北で終了しているので今回はヒメアカネを徹底的に探そうと生息地になりそうな樹林に囲まれた湧水の湧いた湿地帯、休耕田をマップで探し行ってみる事にした。

 

この日は水昆屋であるS氏と一緒に採集へ行くことになった。S氏は沢山の水生昆虫をブリードしていて、よく一緒に採集の同行をさせてもらっている。今回はヒメアカネ一点狙いという事でトンボにはあまり興味がないS氏は周辺の湿地でガサガサをして餌採集をしているとの事だった。

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まず初めに向かったフィールドは前回のキトンボ採集の帰りに下見に行った場所だ。低山地帯の休耕田で湧水も多くこれは早々に決着がつくのではないかと思っていたが予想を裏切られ、ホソミオツネントンボが沢山いて、たまにアキアカネが摂食飛翔するくらいで40分程歩いたがヒメアカネは見つける事が出来なかった。同行していたS氏が餌用のヤゴとしてクロスジギンヤンマとヤブヤンマ、タカネトンボを採集していた。

 


次に向かったフィールドは山間地の休耕田である。ここは10月の頭にも訪れた事がありかなりの個体数のマユタテアカネがいる湿地帯でヒメアカネの生息環境としても申し分ない。

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前回来た時よりも台風の影響なのか、かなり増水していた。自分はここでいなかったらもう他はないというほど勝利を確信した。だがそんな期待を裏切るように天気は雲で覆われていき、たちまち曇り空になってしまった。これではトンボが飛ぶわけもなくただ湿地帯の中をコセンダングサの種を身体中につけながら歩くだけだった。

 


13:30分頃、丁度このフィールドへ着いてから40分程経過した時覆われていた雲が一気に減り強い太陽光が水田地帯を一気に照らし始めた。自分はここしかないと思い射程に入ったアカネ属のトンボを採っては逃しを繰り返し続けた。だが採れどもマユタテアカネしか入らずここではヒメアカネは厳しいのかと諦めかけていた時、前方の畦道に一回り小さなアカネ属が止まった。どうせ小さい個体のマユタテアカネだろうと期待を持たずに網を被せた。そして網から取り出してみると…
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ヒメアカネ
そう何度も写真でみたヒメアカネだった!電車の移動中や暇な時間を見つけては画像を凝視していたのだから間違うはずもない。

 


日本最小のアカネ属ということだけありマユタテアカネより一回り小さく、一度みると間違うことは無かった。
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別個体のヒメアカネ♂
一度見つけると何故かすぐに何匹か見つかる現象で(虫屋あるあるだと思う)6匹程見つける事ができた。ヒメアカネはマユタテアカネに比べて翅が綺麗で老熟しきっている個体が居なかったのでヒメアカネの12月中も見られるというのは本当なのかもしれない。

 


目的が達成できた自分は満足な成果が得られテンションが上がりきったまま次のフィールドへ向かう事にした。写真を撮り忘れてしまったのだが、次の場所は谷津田の奥の全面コンクリートの比較的大きな池へ行った。水生昆虫はクロゲンゴロウ、ガムシ、ミズカマキリ、コシマゲンゴロウ、クロズマメゲンゴロウ、オオコオイムシ、ミズスマシと中々良いメンツが揃っていた。ヤゴはクロスジギンヤンマが最も多く、ショウジョウトンボ、ヨツボシトンボも採集できた。

 

 

 

 


本日最後のフィールドへ着いた時には既に時刻は16:00でこの季節では30分もしたら暗くなってしまうだろう。

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最後のこの池は全面コンクリートオオカナダモが繁茂した池だった。自分はこれはアタリな池だと思い期待に胸を膨らませたがS氏はあまり良くないと言っていた。


時間もないのでとりあえず二手に分かれて岸辺の植物をガサっていく事にした。網を入れての感想はショウジョウトンボのヤゴとクロスジギンヤンマのヤゴが多く水生昆虫はひとつ前に行った池に比べて全然入らなかった。でもこの池になにかを感じていた自分は網を入れ続けた。そしてS氏が帰ろうとした瞬間…

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ナミゲンゴロウが入った!やはり居たのだ。この後オス3匹を発見する事ができた。

 


今回一番自分が驚いたのはこの後S氏が5匹もタガメを見つけてしまった事だ。

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今11月16日だぞ?この時期タガメを野外で発見したのは初めてだったので感動した。いわゆる水中越冬というやつなのかたまたま上陸していないだけなのかは気になる所だ。

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エゾコガムシも同所で発見できた!人生二度目の発見なので地味に嬉しかった。

 


今回は色々と濃い一日になり楽む事ができた。一つの心残りといえばヒメアカネの雌が得られなかった事だけだ。良い場所を発見できたので来年はこのフィールドへ通うつもりだ。今後もこのフィールドへ訪れたら新しい発見があるかもしれない…