Keiの自然探索日記

主に湿地帯を中心に昆虫や植物を見つけに野山を駆け巡る日記

初秋の醍醐味⓶

9月26日。この日は前回失敗に終わったマダラヤンマ採集へ行く事にした。過去の記録やマップによると前回行っていた場所では過去にマダラヤンマが採集されている事を知り、前回は天気が良くなかったのだと思い今回は朝から快晴の日を狙ってフィールドへ繰り出した。

 

まず最初に2013年に記録があったとされる緑地公園の池へ行ってみた。マダラヤンマの雄は午前中にパトロールをするという事で午前中が勝負なのだと焦燥感を常に感じながら勝負に挑んだ。緑地公園の池ではナツアカネなどのアカネ属が多く産卵していた。その他にシオカラトンボやギンヤンマがちらほら飛ぶくらいでマダラヤンマの姿はどこにもなかった。時間もないので30分ほどで別地点へ行くことに決めた。

 

9:30分頃次の地点へ到着した。ここは24日コバネアオイトトンボを見つけた池だ。この日は前回と違い快晴で温度も高かったからなのか、トンボ達の活性が高く感じた。到着すると長竿を持ったトンボ屋が来ており今日の朝マダラヤンマを捕まえたという情報をもらった。自分はやっぱりいるのかと嬉しくなり太陽に照らさたアシ原の上を見つめ続けた。

マダラヤンマがパトロールする場所を教えて頂けるという事でコツなどを教えてもらいその後少し経ちマダラヤンマの飛翔を目にする事ができた。そのヤンマ科らしからぬ小ささと一瞬でもわかるほどの美しさに驚いた。自分の感覚ではシオカラトンボを少し大きくした感じだと思う。程なくして射程に入ったマダラヤンマの雄を捕まえる事ができた。

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マダラヤンマ雄

実物を手にして秋晴れの空をそのまま宿したようなコバネアオイトトンボとはまた違うブルーの色に感動し手が震えて中々写真を撮る事が出来なかった。

 

ひとまず満足した自分は、前回行ったがマダラヤンマがいなかった池にもう一回行ってみる事にした。今日の天気ならいるかもしれない、いやいるはずだ。

 

午後13:30頃池に到着するとここでも長竿を持った同業者がいて、この池について色々教えてもらった。やはりマダラヤンマはいるとの事だった。その他にも夏にはマルタンヤンマやネアカヨシヤンマも狙えるという事で来年の夏が一層楽しみになった。

結局この日は午後日が傾いてしまいマダラヤンマは飛ばず、足を蜂に二箇所刺されて終わりとなった。

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湖の湖畔でみた白い彼岸花

 

その後も晴れた日があれば狂ったようにフィールドへ行きマダラヤンマの尻を追いかける日々が続いた。

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マダラヤンマの雄は捕まえられるようになったが雌は姿を見る事すらできなかった…

 

マダラヤンマ採集の帰り寄った川でナゴヤサナエを狙う事にした。胴長を履き川の中を歩きながら探した。ナゴヤサナエはホンサナエに似た飛び方で水面をすばしっこく飛ぶ。そして運良く1匹ネットインする事ができた。

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ゴヤサナエ雄

ゴヤサナエも絶滅危惧II類に指定されており希少なトンボだ。

 

結局今シーズンはマダラヤンマの雄は採集する事が出来ずに終わってしまった。来年はマダラヤンマとナゴヤサナエの雌を採集するのが初秋の目標になりそうだ。

 

初秋の醍醐味⓵

9月は自分にとって忙しい季節であり中々自由な時間が取れない時期だった。そんな中9月下旬になりようやく自由な時間も増えてやる事といえばそう、今年の春から予定していたコバネアオイトトンボとマダラヤンマの採集である。両種ともどこでも見られるというわけではなく、いわゆる希少種という部類に入る。特にコバネアオイトトンボ環境省のレッドデータでは絶滅危惧IB類であり非常に貴重な種である。

 

9月24日。この日は天気に恵まれず午前中から雲が多い天気だった。コバネアオイトトンボがいる場所は知っていたので、マダラヤンマが生息していそうな環境をマップで調べ5つ程目星をつけて周ってみる事にした。

 

最初に行った池は海沿いの町にある背の高い抽水植物が多く生えているいかにもな池である。

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ポイント①の池

この池は一番最初で天気もよろしくなかったのでさっと確認しマダラヤンマが居ないと判断し次のポイントへ向かった。次の池からは写真はないがどれも池が小さくてギンヤンマしかいなかったり、そもそも柵があって入れなかったりでまともに散策する事が困難だった。

 

そしてコバネアオイトトンボが生息するトンボ屋の間では割と有名?な池へ行った。池へ着くなり空は完全に厚い雲で覆われてしまい曇天での採集を余儀なくされた。この場所は複数の大きな池からできていて初見だった自分はどの場所にいるのかもわからずひたすら池周辺の草地を徘徊し続けた。昼頃到着してから2時間程探したがアオイトトンボしか見つからず諦めかけていた。そして一番奥の池周辺を歩いている時アオイトトンボよりひと回り小さなイトトンボが飛んでいたので採ってみると。

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コバネアオイトトンボ

やっとコバネアオイトトンボを捕まえる事ができた。アオイトトンボともオオアオイトトンボとも違う華奢で控えめなフォルムにラムネのようなこれまた控えめなブルーに感動した。図鑑やネットの画像で見てる時はただ小さなオオアオイトトンボくらいにしか思っていなかったが実物を見て自分の中の評価が一変した。

 

その後はコツをつかんで何匹も見つける事ができ、混生しているアオイトトンボとの違いも一瞬でわかりようになった。

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十分コバネアオイトトンボを堪能し帰路につく頃には雨が降り始めこの日の探索は終了となった。

 

マダラヤンマは結局この日は見ることができなかったが、目標の一つであったコバネアオイトトンボが見られて満足する事ができた。コバネアオイトトンボはおそらく県内で唯一の確実な産地だと思うのでこの場所でこれからも生息していてくれる事を願う。

                  ⓶へと続く

晩秋の奇跡

11月16日。この日は前回の北関東キトンボ探索で密かに狙いをつけていたヒメアカネを完全敗北で終了しているので今回はヒメアカネを徹底的に探そうと生息地になりそうな樹林に囲まれた湧水の湧いた湿地帯、休耕田をマップで探し行ってみる事にした。

 

この日は水昆屋であるS氏と一緒に採集へ行くことになった。S氏は沢山の水生昆虫をブリードしていて、よく一緒に採集の同行をさせてもらっている。今回はヒメアカネ一点狙いという事でトンボにはあまり興味がないS氏は周辺の湿地でガサガサをして餌採集をしているとの事だった。

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まず初めに向かったフィールドは前回のキトンボ採集の帰りに下見に行った場所だ。低山地帯の休耕田で湧水も多くこれは早々に決着がつくのではないかと思っていたが予想を裏切られ、ホソミオツネントンボが沢山いて、たまにアキアカネが摂食飛翔するくらいで40分程歩いたがヒメアカネは見つける事が出来なかった。同行していたS氏が餌用のヤゴとしてクロスジギンヤンマとヤブヤンマ、タカネトンボを採集していた。

 


次に向かったフィールドは山間地の休耕田である。ここは10月の頭にも訪れた事がありかなりの個体数のマユタテアカネがいる湿地帯でヒメアカネの生息環境としても申し分ない。

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前回来た時よりも台風の影響なのか、かなり増水していた。自分はここでいなかったらもう他はないというほど勝利を確信した。だがそんな期待を裏切るように天気は雲で覆われていき、たちまち曇り空になってしまった。これではトンボが飛ぶわけもなくただ湿地帯の中をコセンダングサの種を身体中につけながら歩くだけだった。

 


13:30分頃、丁度このフィールドへ着いてから40分程経過した時覆われていた雲が一気に減り強い太陽光が水田地帯を一気に照らし始めた。自分はここしかないと思い射程に入ったアカネ属のトンボを採っては逃しを繰り返し続けた。だが採れどもマユタテアカネしか入らずここではヒメアカネは厳しいのかと諦めかけていた時、前方の畦道に一回り小さなアカネ属が止まった。どうせ小さい個体のマユタテアカネだろうと期待を持たずに網を被せた。そして網から取り出してみると…
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ヒメアカネ
そう何度も写真でみたヒメアカネだった!電車の移動中や暇な時間を見つけては画像を凝視していたのだから間違うはずもない。

 


日本最小のアカネ属ということだけありマユタテアカネより一回り小さく、一度みると間違うことは無かった。
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別個体のヒメアカネ♂
一度見つけると何故かすぐに何匹か見つかる現象で(虫屋あるあるだと思う)6匹程見つける事ができた。ヒメアカネはマユタテアカネに比べて翅が綺麗で老熟しきっている個体が居なかったのでヒメアカネの12月中も見られるというのは本当なのかもしれない。

 


目的が達成できた自分は満足な成果が得られテンションが上がりきったまま次のフィールドへ向かう事にした。写真を撮り忘れてしまったのだが、次の場所は谷津田の奥の全面コンクリートの比較的大きな池へ行った。水生昆虫はクロゲンゴロウ、ガムシ、ミズカマキリ、コシマゲンゴロウ、クロズマメゲンゴロウ、オオコオイムシ、ミズスマシと中々良いメンツが揃っていた。ヤゴはクロスジギンヤンマが最も多く、ショウジョウトンボ、ヨツボシトンボも採集できた。

 

 

 

 


本日最後のフィールドへ着いた時には既に時刻は16:00でこの季節では30分もしたら暗くなってしまうだろう。

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最後のこの池は全面コンクリートオオカナダモが繁茂した池だった。自分はこれはアタリな池だと思い期待に胸を膨らませたがS氏はあまり良くないと言っていた。


時間もないのでとりあえず二手に分かれて岸辺の植物をガサっていく事にした。網を入れての感想はショウジョウトンボのヤゴとクロスジギンヤンマのヤゴが多く水生昆虫はひとつ前に行った池に比べて全然入らなかった。でもこの池になにかを感じていた自分は網を入れ続けた。そしてS氏が帰ろうとした瞬間…

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ナミゲンゴロウが入った!やはり居たのだ。この後オス3匹を発見する事ができた。

 


今回一番自分が驚いたのはこの後S氏が5匹もタガメを見つけてしまった事だ。

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今11月16日だぞ?この時期タガメを野外で発見したのは初めてだったので感動した。いわゆる水中越冬というやつなのかたまたま上陸していないだけなのかは気になる所だ。

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エゾコガムシも同所で発見できた!人生二度目の発見なので地味に嬉しかった。

 


今回は色々と濃い一日になり楽む事ができた。一つの心残りといえばヒメアカネの雌が得られなかった事だけだ。良い場所を発見できたので来年はこのフィールドへ通うつもりだ。今後もこのフィールドへ訪れたら新しい発見があるかもしれない…

 

 

 

【初投稿】自己紹介と北関東キトンボ探しの旅

今回が初投稿となりますKeiと申します!主に水生昆虫やトンボを求め湿地帯を駆けずり回っています。まだまだ勉強不足なのでこのブログを通して自分自身も成長できたら良いなと思っています!

ブログの中心は生き物や自然をメインにした採集日記や観察日記でその他にも生き物飼育や日々の日常なども少し取り入れて投稿していく予定です!

 


さて、今回は自分が住む茨城県では絶滅と噂されて前々から密かに憧れていたキトンボの標本を友人から頂いた。その死んでもなお美しい翅は秋という季節そのものを体に宿したような姿だと自分は感動した。

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頂いたキトンボ

 


2019年11月13日。この日は一日予定がなく時間がとれたので自分のフィールドで唯一キトンボの生息条件とマッチする池を目指して出発した。
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天気に恵まれて日中23度の快晴というこの時期トンボを狙うにはうってつけの日だ。

 


まず最初に訪れたのは田園地帯にある湿地帯だ。実はキトンボ以外にもヒメアカネを狙っていたりする。10:45分頃にフィールドへ着き車を降りてまず感じた事は思ったより外は肌寒いという事だ。自分は一人で採集の時は大体タモ網と捕虫網を両方もって行くので水中の生き物も余す事なく見たいという欲望が見え見えなのである笑

 


去年のGWから通っているこの湿地帯についてビックリした事は以前来た時よりも水位が30cm以上も増えている事だった。おそらく先月の台風による大雨の影響だと思う。湿地帯の中を歩き回りヒメアカネが飛んでないか目を凝らすが視界に入るのはマユタテアカネとナツアカネばかりだ…そこで痺れを切らしたのかタモ網に持ち替えると徐に湿地帯の水の中へと網を入れ始めた。そして枯れた抽水植物の下へ網を入れると2匹同時にナミゲンゴロウが入った!どうでもよい話だが自分は昆虫の中で一番好きな虫だ。

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クロゲンゴロウも一緒に入った(画像右端)。大好きなナミゲンゴロウを見れて満足したのかこの場所にはヒメアカネは居ないと瞬時に見切りをつけ別のキトンボ本命の池へ向かう事にした。
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ナミゲンゴロウとクロゲンゴロウを採集した湿地帯

 


車で45分程走りキトンボが居そうだと踏んだフィールドへ到着。谷津の奥にある池へ胸を高鳴らせながらひたすら歩いた。

 


到着するもキトンボの姿は見えない。諦めが早い自分だがここまできてすぐ諦めるのもよくないと思い正午まで池の畔で待つ。まっている間はスマホをいじいじしながら時間を潰していると…

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池の近くの枯れ草の上で体を乾かし飛ぼうとしているタイコウチがいた!!タイコウチは体の水分を良く乾かしてから飛びやすい位置に移動して太陽が雲から出て十分な日光が当たるとすぐ飛びたち結構なスピードへ遥か上空へ上がってしまった。(実はスローモーションビデオを撮ろうとして失敗している)
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キトンボを狙った池①
待てどもオオアオイトトンボアキアカネしか飛ばないので痺れを切らし引き返した。

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キトンボを狙った池②


最初に訪れた池の近くにある池へ寄ってみたがキトンボはいるはずもなく今回のキトンボ採集は敗北に終わった…


その後周辺の湿地をヒメアカネ狙いで歩いたが太陽が西に傾き日が落ちてくるとトンボも飛ばなくなり今日の探索は終了する事にした。


今年のキトンボ採集は諦めヒメアカネに全力入魂する事を決めた。次回の探索の下見の為にマップをみて可能性がありそうな場所に立ち寄ってみると、ここはヒメアカネの生息場所の画像と似ているので次はこの場所を最有力地として探索しようと思う。